私は、理科系のノーベル賞に非常に興味がある。一生の内に、出来れば全てのノーベル賞受賞者の業績を学びたいのだが、ちょっと難しいので、日本の受賞者が書いた一般向けの本や他の人がその受賞者の業績や人柄について書いた本はできるだけ読むようにしている。
この本の中で参考に採り上げている本も大概読んでいる(巻末の主要参考文献に列記されている本に関しては約1/3くらい読んでいる)。このブログでも、そんな本を10冊以上紹介している。「ノーベル賞」のタグまたはブログ内検索でノーベル賞を検索すれば、それら列挙されるはずだ。
今回採り上げる本は、昨年の2008年までに日本人で理科系のノーベル賞(物理学賞、化学賞、生理学・医学賞)を受賞した13人について、紹介した本だ。
手抜きだが、まず参考にAmazon.co.jpの本の紹介に書かれた文章を下に転記する。
「1949年、湯川秀樹博士のノーベル物理学賞受賞の報は、敗戦で打ちひしがれた国民に、自信を取り戻させるきっかけとなった。いつの時代も日本人のノーベル賞受賞は、私たちに感動を与え、誇りを抱かせてくれる。2008年度の4人同時受賞まで、自然科学部門の歴代受賞者13人の業績と人物像を紹介するデータブック。)(「BOOK」データベースより)
著者は高橋 繁行という1954年京都府生まれのルポライターらしい。『マンガ超ひも理論』など科学ものを色々手がけているようだが、理系出身なのかどうか、本の裏に書いてある経歴には学歴など一切書かれていないので不明。
日本のノーベル賞受賞者に関する本を色々読んだようだが、そんなに纏め方はうまくない。私も、他人のことはあまり言えるような人間ではないが、読んでいてこの人は自分で本当に理解できて書いているのだろうか、とちょっと疑問に思う箇所も多々あった。
まあ13人もの受賞者の業績及び人柄などをたった2百20頁ほどで纏めることじたい無理だからして仕方ないことかもしれない。ルポライターとは自力で書くものかもしれないが、科学ものは正確さが問われるはずだから、ちょっとくらいは科学者に見てもらってもよかったのではないか。見てもらっているのかもしれないが、私でさえ気付く不正確な言葉や説明が時々出てきた。
各受賞者の説明のあとに図による簡単な説明も行っているが、その図を見ながら読んでも、実際には受賞者の業績はよくわからないのではなかろうか。あまり上手いとは思えない図だ。超大まかにイメージ的に何となく把握できる程度だ。
結局、この本で13人の受賞者の業績を知ろうと思っても、超概略イメージ程度がいいところだろう。あまり期待しないほうがいい。あくまでこの本のタイトル「日本の歴代ノーベル賞」を学ぶ手始め程度にしか役立たない本である。
私の評価も本当は星3つ程度にしようかと思ったが、まあこんな薄い本で何とか纏めた努力を評価して、おまけの星4つとした。
この本に興味をもった人は、これを足がかりに、それぞれの受賞者の業績や人柄に関する本(巻末に60冊ほどの本を参考にあげている)を読みすすめれば、この本を読んだ意義も深まろう。
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