by une_genzaburo
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この本のサブタイトルは、「十代の君たちへ」となっている。だが中村さんは、あとがきで「あまり若い人向けに意識して書いていない」と述べている。私も読んでみて思うのは、内容も確かに別に十代向けに書いた感じはしない。あってなきようなタイトルだ。 「いのち」というものをベースに、生き方を60通の往復書簡で語るスタイルとなっている。年齢的には、宗教哲学者の山折氏の方が、生命科学者の中村さんより5歳ほど年上だが、私には中村さんの文章の方が、遥かに考えさせられる箇所が多かった。以前から私淑している贔屓もあろうが、気に入った箇所など線引きしたのをみると、どうも中村さんの方が多い。畏れ多い言い方をすれば、思想的に共鳴するとことが多いように思うのだ。 別の記事でも書いたかもしれないが、中村さんが十数年前に打ち出した「生命誌」という考え方が非常に気に入っている。地球上の生物は38億年まで遡れば全て先祖は共通している。それが証拠に全ての動植物は、彼ら全てに共通する4つの塩基からなるDNAを染色体を持つという。生命誌は、この全ての生物は繋がっているという考えをベースに、生物を見ていこうとする。 DNAも遺伝子に還元して個々に見て行くのではなく、1つの生物がもつ1組のゲノムの総体の中で見ていく。ゲノムとして総体的に見ることによって、38億年の歴史を見ることが要請されてくる。誰の言葉だったか忘れたが「固体は発生は系統発生を繰り返す」とあるように、ゲノムの中には38億年の歴史が織り込まれている。部分部分の遺伝子の働きのようにDNAを還元的に見て、たんぱく質の単なる製造指示書のように捉える見方は、偏狭的、偏執的な見方なのだと教えてくれる。 私は本文の中でも彼女のちょっとした言葉の1つ1つに深い共鳴を覚えた。幾つか採り上げてみたい。 「心をこめて作ったり、大切に使ったりするような物であれば、物が豊かだから心が貧しくなるということにはならないのではないでしょうか。 物をそのような関係の中に置かず、お金に換算してしまうと、心とは無関係になってしまいます。物と心とを対立させて心を選ぶのではなく、物を心に呼び戻してお金に振り回されない暮らし方をしていくのが、本当の豊かさを生むことになるのではないでしょうか」 「人間は、未来がある程度予測できて、それが今とは少し違った状態であると期待できるとき、一番落ち着いて生活を楽しみ、なお少々の挑戦をする気になるのではないでしょうか。日本の場合、四季の変化を体で感じながら農業を基本とした社会を組み立てることで、そのような生活をしてきました。第二次大戦後は急速な工業化が進み、この基本を崩してしまいましたが、これは間違っていると思います。」 「複雑なものについて考えるときに、できるだけ簡単なものに還元して要素を探すという方法で迫ろうとする習慣から脱却しようというのが、実は生命科学から生命誌へと移った私の気持ちなのです。というのも、生命や心を分解していこうとすると、なぜかそれを機械と同じ様に見てしまうということが起き、それが日常生活にマイナスの影響をもたらすことが少なくないからです。 病気の原因を突き止めて治療法を開発することは必要ですが、たとえば心の病気などは、病因遺伝子を探 すよりは、お金がすべてという社会のありようを変えて、生きることそのものを大切にする社会システムを作るほうが患者数の減少に役立つだろうと思うのです。最近、生命研究が国際競争や産業との関連の中に置かれすぎているので、余計機械論的な見方には危うさを感じます。」 「科学は全体を総合的に見ることが不得意なので、自分の得意とするところだけ明らかにし、それを活用して技術を開発したために、自然との関係に歪みのある技術を進展させてしまいました。その結果起きた環境問題の解決には、地球全体を知り、人間を理解することが必要ですが、それは現在の科学では不可能です。 たとえば、「地球温暖化といわれるが、その科学的根拠は確実でないのだから、この問題に真正面から取組む必要はない」という考え方があります。私はこの課題は、科学的根拠を求めて対処するものではないと思ってます。このような課題が生じてきた背景にある現代社会の暮らし方はどう考えてもおかしいという気持ちをもつかどうかです。・・(中略)・・科学は特別だとは思わずに、芸術や宗教と共にある1つの知として位置付け、日常の感覚を大事にしていくことで科学のよさが生きてくると思うのです。」 中村さんばかり褒め、中村さんの言葉ばかり引用してしまった。 山折氏の言葉が、中村さんと比較してかなり落ちるというのではない。宗教学者だけに、重みのある言葉もある。ただ今回は科学者の往復書簡というだけに、何かちょっと無理したような気がしなくもない。 実は、図書館から山折氏の本をもう一冊借りてきて、それを既に少し読み始めている。今回は特に山折氏の事はこれ以上記さないが、専門分野の方の話では、十二分にその本領を発揮してくれるのではないかと思う。期待したい。 最後に、色々述べましたが、全体としてみた場合、この本は私としての評価は5星です。皆さんにお薦めしたい一冊です。 ←ランキングに参加しています
by une_genzaburo
| 2009-07-31 09:56
| 読書
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